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ふるさと納税の返礼品に係る課税(所得税調査)

2023.03.01

ふるさと納税の返礼品に係る課税(所得税調査)

制度創設以来、その利用が年々増加しているふるさと納税ですが、ふるさと納税の返礼品は地方公共団体(法人)から寄付者への贈与に該当することから、一時所得として寄付者へ所得税・住民税が課されることとなっています。

一時所得には50万円の特別控除があるため、返礼品が課税対象となるケースはなかなかないと思われますが、今回は返礼品の「評価方法」と「収入計上時期」について争われた事案がありましたので、ご紹介いたします(令和4年2月7日裁決)。

事案の概要

今回の事案の概要は以下の通りとなります。

  • 個人Aは、平成29年に40回、平成30年に72回のふるさと納税を行い、それぞれの地方公共団体から返礼品を受け取っていた。
  • Aの所得税等に係る税務調査が行われ、税務署は各返礼品の品目・発送年月日・到着年月日・評価額などを把握し、各返礼品に係る経済的利益を算定した。
  • 一部の団体は、返礼品の評価額には送料の額が含まれている旨を税務署に対して回答した。
  • 税務署は各返礼品の経済的利益の価額を基に、Aの一時所得の金額を計算し、所得税等の更正処分と過少申告加算税の賦課決定処分をした。
  • Aは税務署が認定した経済的利益の価額は適正ではなく、処分に不服があるとして審査請求を行った

ふるさと納税の「返礼品の評価額・収入計上時期」について税務署の主張

本件に関する税務署の主張は次の通りです。

  • 返礼品に係る経済的利益の価額は、各返礼品を取得した日の各返礼品の価額であり、その価額は各地方公共団体が返礼品の調達に当たって実際に支払った金額(返礼品調達価額)である。
  • 各団体が各返礼品を調達して納税者に送付するまでの間に、返礼品の価額に大幅な変動が生じることは通常想定されない。
  • 従って、各団体の調達価額をもって納税者が各返礼品を取得した日の価額とすることに合理性がある。
  • また、収入すべき時期は、納税者が各返礼品を取得した日となり、この場合の「取得した日」については、各返礼品が納税者の住所地等に到着した日、到着した日が不明な場合は各団体が各返礼品を送付した日の2日後によるのが相当である。

ふるさと納税の「返礼品の評価額・収入計上時期」について納税者の主張

ふるさと納税の「返礼品の評価額・収入計上時期」について納税者の主張

一方の納税者の主張は次の通りです。

  • 税務署の認定額の基となった各団体の評価額は、同じ内容の返礼品でも評価額が異なるなど、客観性や合理性を欠くものである。
  • 納税者が各返礼品を取得した日と各団体が返礼品を調達した日は同じではないから、各団体による返礼品の調達価額を納税者が返礼品を取得した日の価額とみることはできない。
  • 一時所得の収入金額に算入すべき金額は、事業の広告宣伝のために支払われる賞品の評価と同様に評価額の60%相当額(いわゆる処分見込相当額)によるべきである。
  • 税務署の認定額は、各返礼品のうち年末に発送されたもので翌年に受け取ったものや、到着年月日が不明なものまで、その発送された年分の総収入金額に算入されており、収入すべき時期に誤りがあるものがある。

国税不服審判所の判断

両者の主張を聴取し、事実関係を調査した国税不服審判所は次のように判断しました。

  • 地方公共団体は、通常、調達事業者による返礼品の発送をもって事業者にその代金を支払っていると考えられることから、各団体の返礼品の調達時期と納税者が返礼品を取得する時期は近接していると認められ、この二つの時期を同時期とみても特段不合理ではない。
  • 返礼品の提供がふるさと納税をした人への謝礼であることからすれば、その謝礼の経済的利益の価額は、地方公共団体が謝礼のために支出した返礼品の調達価額とすることが相当額である。
  • そして、返礼品の調達・提供のために支出した返礼品調達価額が納税者に供与される経済的利益であると認められることから、送料相当額が含まれている旨の回答があった返礼品については、送料相当額を差し引かずに各返礼品の経済的利益の価額を算定するのが相当である。
  • 返礼品はふるさと納税を受けた各団体がその謝礼として送付するものであり、事業の広告宣伝のために支払われる賞品ではないから、Aが主張する評価額の60%相当額とする方法は採用することはできない。
  • 各返礼品に係る経済的利益の収入すべき時期は、一般的にその支払を受けた日であることを踏まえると、返礼品を贈与により受けた(取得した)日、具体的には返礼品が納税者の住所地等に到着した日(又は到着したと合理的に認められる日)の属する年分とするのが相当である。
  • 当審判所が調査した結果、税務署が認定したものの中には認定した日又は年分に誤りがあり、その収入すべき時期(年分)に誤りがあるものも認められた。

ふるさと納税の「返礼品の評価額・収入計上時期」の判断基準

いかがでしょうか。
ふるさと納税の返礼品に係る経済的利益の価額は、各地方公共団体の返礼品調達価額(送料込みの価額)が相当であり、その価額の収入すべき時期は、各返礼品が納税者の住所地等に到着した日の属する年分とすることが明らかになりました。

ふるさと納税の返礼品調達価額(目安)の算出方法

ふるさと納税の返礼品調達価額(目安)の算出方法

さて、それでは「返礼品調達価額」とはいくらなのかが実務上は問題となります。
総務省(自治税務局市町村税課)が令和4年7月に発表した「ふるさと納税に関する現況調査結果」によりますと、「ふるさと納税の受入額」に占める「返礼品の調達に係る費用」の割合が27.3%、「返礼品の送付に係る費用」の割合が7.7%でした。

ふるさと納税に関する現況調査結果(令和4年度実施)(総務省HP)

https://www.soumu.go.jp/main_content/000827748.pdf

ふるさと納税1万円分の場合の返礼品調達価額(目安)

前述の裁決を踏まえると、調達(27.3%)と送付(7.7%)の両費用を合わせた35%が返礼品に係る経済的利益の価額(目安)と考えられます。
つまり、1万円のふるさと納税に係る返礼品の経済的利益の価額は下記の通り試算できます。

1万円のふるさと納税に係る返礼品の経済的利益の価額

1万円×35%=3,500円

ふるさと納税の返礼品で特別控除額50万円を超えるケース

返礼品の合計額が一時所得の特別控除額50万円を超えるケースはとなると、年間のふるさと納税額が約142万円超の場合になります。

一時所得の特別控除額50万円を超えるケース

50万円÷35%=142万8,571円

年間のふるさと納税額が142万円を超える人はなかなかいないとは思いますが、同じ年に生命保険の一時金や損害保険の満期金などの一時所得に該当する収入がある場合には、注意が必要となります。
なお、一時所得として取り扱うものや、その他計算方法などは下記の国税庁HPからも確認いただけます。

一時所得の金額(国税庁HP)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1490.htm

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