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相続税の不動産評価を巡って納税者が最高裁敗訴(相続税調査)

2022.05.17

相続税の不動産評価を巡って納税者が最高裁敗訴(相続税調査)

今回は、相続税の不動産評価を巡る事件で、納税者が最高裁敗訴となった判例をご紹介します(令和4年4月19日判決)。

事案の概要

事案の概要

最高裁判所第三小法廷は、不動産の相続税評価を巡って「財産評価基本通達6項」に基づく鑑定評価額を採用すべきか否かが争われていた事件に関し、国側(税務署側)の鑑定評価額を認め、納税者の上告を棄却する判決を下しました。

この事件は、相続した不動産(A不動産とB不動産)を、国が定めた財産評価基本通達の方法で評価し、相続税の申告をしたところ、税務署(札幌南)から「評価通達の定めによって評価することが著しく不適当」とされ、評価通達6項に基づき「鑑定による評価額」で評価すべきとして更正処分を受けたというものです。

「財産評価基本通達6項」とは

相続財産の評価基準を定めたものが「財産評価基本通達」であり、その中の「6項」に記載されている内容が、下記の通りです。
「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」

通達評価と鑑定評価で大きく異なった相続財産の評価額

通達評価と鑑定評価で大きく異なった相続財産の評価額

それではここで、この事件の具体的な金額を確認してみましょう。

購入価額(借入金)

A不動産:8億3700万円(6億3000万円)
B不動産:5億5000万円(4億2500万円)

納税者の評価額【通達評価】

A不動産:約2億円
B不動産:約1億3300万円

税務署の評価額【鑑定評価】

A不動産:7億5400万円
B不動産:5億1900万円

つまり、10億円強の銀行借入金で、14億円弱の2棟の不動産を購入したわけですが、相続税の申告上は、「財産:3.3億円」と「負債:10億円」の計上によって、課税遺産の総額が相続税の基礎控除額以下となり、結果的に相続税が「ゼロ」になったわけです。

この申告に対して、税務署は税務調査を行い、「財産評価基本通達6項」を根拠に、路線価評価を否認して鑑定評価で相続税額を計算し直して更正処分したというものでした。

税務署の処分に対して納税者が反論し、国税不服審判所、地裁、高裁と争ってきましたが、納税者がすべて負け続け、今回の最高裁で敗訴が決定いたしました。

「財産評価基本通達6項」の発動基準はあるのか

3月に最高裁で弁論が開かれたため、納税者の逆転勝訴や新たな展開があるのでは、と期待もされましたが、原審の結果がそのまま維持され、納税者の敗訴が確定しました
最高裁が「財産評価基本通達6項」の適用を認める判断を示したことで、不動産を利用した相続税の節税対策には、これまで以上に慎重にならざるを得なくなったと思われます。

しかし、今回の判決文には次のような言葉が見て取れます。

『本件通達評価額と本件鑑定評価額の価格の大きな乖離だけをもって上記事情がある(租税負担の公平に反する)ということはできない。』
つまり、結果的に通達評価額と鑑定評価額で大きな差が生じたとしても、それだけをもって通達評価を否認するものではないということです。
最高裁が6項に基づく鑑定評価額の採用を認めたポイントとしては、『節税意図を持って行った不動産の購入や銀行借入』と、『そのような行為をできない人との租税負担の不公平感』であることが注目点といえます。

相続税申告時に注意すべき点

今回の判決文を何度も読んでみましたが、残念ながら6項発動につながる明確な適用基準は示されておらず、“消化不良”といった感想が正直なところです。
私なりに整理してみると、次のようなケースが相続税の申告時に注意が必要かな・・と考えます。

  1. 当初から相続税の節税を意図して、
  2. 作為的に銀行借入等の負債を作りだし、
  3. 経済的合理性もなく、
  4. 相続税評価額の低い不動産等を購入している場合
相続財産に都心のタワーマンションが含まれていた場合には、その物件購入時の年齢や健康状態、購入に至った経緯、その方の投資経験や金銭感覚、購入時の借入金の有無、といった点をよく確認し、世間の常識から考えて「それはやり過ぎでしょう」と感じられたときは、評価方法は慎重に判断した方が良いかもしれません。

参考までに、最高裁の判決文を添付致します。
それほど長いものではありませんので、ご興味のある方はご参照ください。

最高裁判例文(PDF)

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/105/091105_hanrei.pdf

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