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家族名義の預金が名義預金であると指摘され、追徴課税を受けた事例(相続税調査)

2022.02.03

家族名義の預金が名義預金であると指摘され、追徴課税を受けた事例(相続税調査)

相続税の税務調査で申告漏れの指摘が最も多い財産は「現金預金」です。
そして、その中でも最も多いのが「名義預金」です。

「名義預金」とは、「被相続人が自分以外の名義で作った預金」のことで、配偶者や子供、孫といった身近な親族の名義で作られた預金口座を指します。勿論、名義人本人の収入等で形成された預貯金であれば名義預金とはなりません。
名義人本人がその口座の存在を認識していなかったり、あるいは認識していたとしても、その口座の管理運用に一切関与していないものが、「名義預金」となります。
なお、名義預金は「相続財産」とみなされるため、当然ながら相続税の課税対象となります。

今回は、家族名義の預金が相続財産であると指摘され、追徴課税を受けた事案をご紹介します(平成19年10月4日裁決)。

事案の概要

事案の概要

今回の事案の概要は以下の通りとなります。

  • 被相続人Jは平成16年2月○日に死亡。相続人はJの妻Lと子Kの2人であった。
  • Jは、郵便局から郵便貯金の残高が預入限度額(1000万円)を超過している旨の指摘を受けたため、平成8年2月にJ名義の郵便貯金のうち1200万円について、350万円(1口)をK名義に、850万円(700万円と150万円の2口)をL名義にそれぞれ名義変更した。
  • その他、L名義で約400万円の有価証券が存在していた。
  • LとKは相続税の申告納税を行ったが、上記の郵便貯金及び有価証券を相続財産に計上せずに申告納税を済ませた。
  • 後日の税務調査でLとK名義の郵便貯金、及びL名義の有価証券は相続財産に該当するとして、相続税の更正処分が下された。
  • LとKは税務署の処分を不服として国税不服審判所に審査請求を行った。

名義預金(相続財産)であるという税務署の主張

税務署側の主張をまとめると次のようになります。

  • 被相続人Jが作成した「郵便貯金メモ」が存在し、それにはJの筆跡により名義人ごとの郵便貯金残高及び合計額が記載されていた。
  • 「郵便貯金メモ」の金額は、平成8年2月時点におけるLとKの名義及びJ名義の郵便貯金残高の合計額にほぼ一致していることから、LとKの名義の貯金を含め、Jがこれらの郵便貯金全体を掌握し、支配下に置いていたと判断するのが相当である。
  • 有価証券については、Jが昭和60年8月にM社を退職し、同日に受給した退職金を原資として300万円のL名義の国債を購入したと認められ、かつ、有価証券の取引はJが主体的に行っていたと認められるので、相続開始時点の有価証券はいずれもJに帰属する。
  • K名義の郵便貯金には、Jの退職金を原資として形成されたと考えられる定額貯金やJの筆跡により預け入れられた定額貯金がある。
  • また、「郵便貯金メモ」には、K名義の郵便貯金を含んだところで記載されており、Jの郵便貯金とKの郵便貯金相互間で名義書換や同一日に取引している事実もあり、以上のことからすれば、JはK名義の郵便貯金も管理していたものと認められる。
  • LはJからの贈与を主張するが、JからLに対して贈与の意思表示がなされたかどうかは明らかでなく、贈与税の申告書を提出した事実もない。
  • Lが贈与を受けたと主張する預貯金等は、Lが独立して管理・運用し処分方法を決定していたとは認められず、L固有の財産として夫婦間で認識されていたことを認めるに足りる資料もない。
  • 以上のことから、これらの財産はJに帰属すると認められる。

名義預金(相続財産)にあたらないという納税者の主張

一方、納税者のLとKは次のように主張しました。

  • 妻Lは、婚姻前から預貯金を所有し、婚姻後は、Jの了解のもと生活費をやりくりして自らの能力で貯めたヘソクリと一緒に預貯金運用等を行った。また、Lは自らの○○手当や国民年金も預貯金運用していた。
  • 「郵便貯金メモ」の内容については、郵便貯金の総額規制を守るために、郵便局がJとLに家族全員の貯金残高を知らせ、それをJとLの二人で書いたものである。
  • L名義の預貯金通帳と証書は、Lの寝室のタンスの中でLが管理していた。一方、J名義の預貯金通帳等は、Jの書斎兼寝室にある引出しに鍵を掛けて、Jが管理していた。
  • 有価証券については、N証券の妻L名義の顧客管理口座で管理されており、L自身で運用されているのでLに帰属する財産である。
  • K名義の郵便貯金は、子供のころのお年玉や親戚からのお祝い金等と、Kが社会人となった後の両親との同居時(昭和53~58年までの間)に、毎月、生活費として家計に入れていた、3万円から3万5千円位の金員が原資であり、貯金の開設、入金及びその後の管理・運用もLがしており、Jの管理下にあったとはいえない。
  • 国債の300万円については、退職金が支給された翌日に現金300万円の贈与をJからLが受け、これを原資として300万円の国債を購入したものである。
  • 定額貯金証書の700万円については、平成8年2月にJ名義の定額貯金700万円をL名義に名義書換の方法により贈与を受けたものである。
  • 以上の通り、指摘された預貯金と有価証券は相続財産ではなく、LとKの固有の財産である。

国税不服審判所の判断

国税不服審判所の判断

両者の主張を聴取し、事実関係を調査した国税不服審判所は、被相続人J名義の口座について、最終的に次のように判断しました。

  • 「郵便貯金メモ」の筆跡は、実地調査の際に確認されたJの日記帳の筆跡と同一であり、Lの筆跡とも異なることから、郵便貯金メモはJが単独で作成したものである。
  • J及びLK名義の平成8年2月現在の郵便貯金の実際残高は、「郵便貯金メモ」に記載された各金額とほぼ一致しており、J・L・K名義の残高をJが「郵便貯金メモ」にすべて記載しているといえるのであるから、Jがすべて管理していたと認めるのが合理的である。
  • Lの固有の収入は、本件預貯金以外のL名義の預金に化体しており、本件預貯金等の原資たり得ない。
  • Kについても、両親と同居していた期間、生活費として月3万円から3万5千円程度を家計に入れていたとの主張であるが、これらの事実を認めるに足る客観的証拠はなく、同居していたとされる昭和53~58年は就職直後の数年間であり、仮に当該金額をすべて貯金したとしても約250万円程度であり、1000万円以上となるK名義の定額貯金の原資たり得ず、不合理な主張といわざるを得ない。
  • LのN証券会社の口座開設日は、Jの同証券における口座開設日と同一日であり、国債(額面300万円)は、その口座開設日に、J名義の国債(額面300万円)と同時に購入され、その後、平成7年7月に満期の代金を充当し、買い換えられたものである。
  • このことから、有価証券は口座開設及び各種手続にJの関与が強くうかがえる上、国債の原資がJの退職金であること、本件日記帳への記載状況等を総合的に判断すると、Jが出捐し管理していたものと判断するのが相当である。
  • LやKはJから贈与されたものと主張するが、Lは調査担当者にJから贈与を受けたことはない旨を申述し、当審判所の調査においても同様の答述をしている上、贈与税の申告書の提出もしていないのであるから、Lに受贈の意思があったと認めることはできない。
  • 以上のことからすると、本件預貯金等は、すべてJが原資を出捐し管理していたものであり、LやKに贈与した事実も認められないのであるから、名義預金となり相続財産扱いとなる。

名義預金(相続財産)の判断基準

いかがでしょうか。
名義預金(相続財産)であるかどうかの判断基準としては、

① 資金の拠出者は誰か?
② 口座を実質的に管理支配していたのは誰か?
③ 仮に贈与されたものである場合にその贈与の事実が確認できるか?

といった点になります。

これらの判断基準を明確にして名義預金かどうかを判断するわけですが、名義預金として課税庁(税務署)が相続税を課税する場合には、名義預金であることの証明を課税庁が行わなければなりません。
つまり、名義預金として課税する場合の立証責任は課税庁側にあるのです。
本件に関しては、課税庁が名義預金であることの証拠や事実をしっかりと証明したことによって、審判所でも名義預金との判断が下されたものと思われます。

決して名義だけではなく、真の保有者を判断し税務申告することが重要といえます。

しかし、必ずしも家族名義の預金が名義預金と判断されるわけではありません。
詳しくは、『家族名義の預金が名義預金と認定されなかった事例(相続税調査)』をご覧ください。

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税理士法人レガート 税理士 服部誠

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