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賃借人が長期間不在の家は貸家として評価できるか(相続税調査)

2022.04.07

賃借人が長期間不在の家は貸家として評価できるか(相続税調査)

相続税評価額において、持家(自己利用や空家等)より、貸家の方が、土地・家屋ともにその評価額は低くなります。
これは、所有者が自由に使用処分できる持家と異なり、貸家には賃借人の権利が存在することから、所有者であっても自由に使用処分する権利が制限されているためです。

土地・家屋の評価額が高ければ相続税も高くなり、低ければ相続税も低くなるため、相続税の申告の際には、同じ家屋であってもその用途が貸家であった方が節税に役立つといえます。

さて、相続開始の時点において、被相続人が所有する家屋を第三者に賃貸していた場合、家屋は「貸家」として、その敷地は「貸家建付地」として評価することになりますが、その賃借人が長期間不在で、その間の家賃も未払いであった場合においても、「持家(空家)」ではなく、より相続税が低くなる「貸家」として評価ができるでしょうか。

今回は、そのようなケースで「貸家」としての評価ができるかどうかを争った事例をご紹介します(平成21年10月23日裁決)。

事案の概要

事案の概要

今回の事案の概要は以下の通りとなります。

  • 被相続人Kは、自己が所有する家屋(以下、A家屋)を昭和55年頃からTに賃貸し家賃を収受していた。
  • 平成7年、Tが死亡。
    その後もTの息子Sが賃借人としてA家屋に居住していたが、Sは平成9年7月に緊急入院した後、翌年10月から更生援護施設に入所することとなった。
  • Sは就労見込みもなく、援助してくれる親族もいないため、平成9年7月から生活保護を受けていた。そのためA家屋の家賃も未払いの状態が続いていた。
  • SはKの相続開始日においても介護施設に入所したままであり、A家屋には戻っていなかったがA家屋には仏壇や家財道具などがそのまま放置されていた。
  • 平成17年8月、Kが死亡したため、Kの相続人Gらは、A家屋を「貸家」として相続税の申告を行ったところ、税務署から貸家として評価することはできないと更正処分を受けた。
  • Gらは税務署の処分を不服として国税不服審判所に審査請求を行った。

貸家として評価すべきという納税者の主張

納税者の主張は至ってシンプルなものでした。

  • A家屋はSに賃貸していたのであり、被相続人KはA家屋を自由に使用できる状態ではなかったのであるから、貸家として評価すべきである。

貸家として評価できないという税務署の主張

一方、税務署は次のように主張しました。

  • A家屋には過去にSが居住していた形跡はあっても、少なくとも平成17年以降、公共料金の支払実績がなく、Kに対する賃料の支払いも確認できない。
  • 相続人Gが調査担当者に対して、「母親が生きていた頃は貸していたが、それ以降は空家になっている」旨を申述していた。
  • これらのことからA家屋は貸家の用に供していたとは認められず、従ってA家屋を貸家として評価することはできない。

国税不服審判所の判断

両者の主張を聴取し、事実関係を調査した国税不服審判所は次のように判断しました。

  • 相続開始日まではSの家財等があったと認められることから、相続開始日以後もSのA家屋に係る占有が継続していたとみるのが相当である。
  • Sの占有は父Tの占有を承継したものと推認でき、Sからも一定期間はKに対し賃料の支払いがあったことからすると、Sの占有は賃貸借契約に基づくものであったと認められる。
  • Sは平成9年以降入院または更生援護施設に入所しているが、その入所も病気を起因とするものであるから転居したものとはいえない。
  • 相続開始日においてもSはA家屋の所在地に住民登録していたことから、A家屋における居住又は占有を放棄して病院又は施設に居住することとなったとはいえない。
  • Sが電気、ガス、水道を使用しなかったとしても、不在であることにより使用がなかったにすぎず、必ずしもA家屋が賃貸借の目的となっていない理由にはならない。
  • KがSに対し借地借家法に規定する解約の申入れをした事実は認められず、借地借家法には賃料が未払であることをもって解約されたものとみなす規定もないため、家賃が未払になった後も賃貸借契約は継続していたというべきである。
  • 上記のことから、A家屋は相続開始日において賃貸借の目的となっている家屋であるため、その評価は貸家として計算することとなる。

貸家の判断基準

貸家の判断基準

いかがでしょうか。
国税不服審判所は、仏壇や家財道具が家屋内に残されていたことに着目し、相続開始日においても借家人の占有が継続していると判断。そして、その占有は賃貸借契約に基づくものと認定しました。
賃貸借の契約が継続していることを明確にできていれば、ここまでの問題にはならなかったのでしょうが、税務においては契約の有無が重視されるという、とても参考になる事例だと思います。

なお、被相続人は未収であった家賃を請求する権利を有していたのですが、それについても入居者の状況からその回収は不可能、または著しく困難と見込まれるとして、未収の家賃は相続財産に計上する必要はないと判断しています。

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税理士法人レガート 税理士 服部誠

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