相続税申告・節税・税務会計顧問(東京・銀座)税理士法人レガート

税理士法人レガート

相続税申告・節税・税務会計顧問(東京・銀座)税理士法人レガート

相続税申告・節税・税務会計顧問(東京・銀座)税理士法人レガート

税理士法人レガート

初回面談無料 お気軽にお電話ください

平日 09:15~18:00

0120-955-769

Zoom面談受付中メールお問い合わせ

メールお問い合わせ

お知らせ・ブログ

News&Blog

重加算税の賦課決定処分が取り消された事例(相続税調査)

2022.10.11

重加算税の賦課決定処分が取り消された事例(相続税調査)

税務調査で申告漏れが指摘され、修正申告を行う場合、追加で納める本税の他に加算税と延滞税が生じますが、当初申告が出ている場合の加算税には「過少申告加算税」「重加算税」の二種類があります。

どちらも、申告納税額が本来納めるべき金額より少ない場合に課税される加算税ですが、次のような違いがあります。
「過少申告加算税」は、主に計算ミスや見解の違いがあった場合に課せられます。
それに対して「重加算税」は、意図的に事実を隠蔽したり仮想して税務申告を行ったときに課せられる加算税となります。そのため、過少申告加算税の税率が10%であるのに対して、重加算税の税率は35%と非常に重い付帯税となっています。

今回は、相続税の税務調査で重加算税が賦課された納税者が、重加算税の取り消しを巡って国と争った結果、納税者の主張が認められて重加算税が取り消された事例をご紹介します(令和3年3月23日裁決)。

事案の概要

事案の概要

今回の事案の概要は以下の通りとなります。

  • Aは、被相続人Fの養子であり、Fは平成18年にFの一切の財産をAに相続させる旨の公正証書遺言を作成していた。
  • Fは、平成27年10月、H生命保険会社の代理店であるJ銀行において、Fを契約者及び被保険者、Aを受取人とした一時払終身保険に加入した。
  • 平成29年8月、Fが死亡。
  • Aは、平成29年8月25日付で、H生命保険会社に死亡保険金の支払請求を行い、死亡保険金1億円が同年9月7日にA名義の普通預金口座に振り込まれた。
  • Aは、平成29年10月12日、Fを契約者及び被保険者、Aを受取人とする生命保険契約に係る死亡保険金6180万円をK生命保険会社に請求し、A名義の口座で支払を受けた。その際、AはK社から、K社保険金に係る支払明細書の送付を受けた。
  • Aは、H保険会社から、平成29年10月16日付の保険金に係る支払調書の送付を受けた。
  • Aは相続税の申告をL税理士に依頼したところ、平成30年2月にL税理士から電子メールで、生命保険の支払があったかどうかについて質問を受けたが、Aは生命保険の支払の件はK社のことだと思い、K社保険金に係る支払明細書を交付したものの、H社の保険金については告げず、その支払調書を交付しなかった。
  • Aは相続税の申告を期限内に行ったが、死亡保険金としてはK社保険金のみが記載されており、H社保険金は記載されていなかった。
  • 令和元年8月、Aの自宅で相続税の調査が行われた。
    調査官が、Aに対し、平成29年9月7日のAの預金通帳に入金されたH社からの保険金について質問したところ、Aは、Fが生前に契約した生命保険契約により受領した死亡保険金である旨回答した。また、調査官は、Aに対し、H社保険金について申告しなかった理由及びL税理士に対して報告や相談をしなかった理由について質問をしたが、Aは回答しなかった。
  • Aは、令和元年10月、H社保険金を相続税の課税価格に算入して、相続税の修正申告書を提出した。
  • 税務署は、令和2年1月、AはH社保険金が相続税の課税対象であることを知りながら、これを隠蔽し、課税財産として申告していなかったと認められるとして、重加算税の賦課決定処分をした。
  • Aは、本件賦課決定処分に不服があるとして、国税不服審判所に審査請求を行った。

重加算税を課すべきだという税務署の主張

税務署の主張は次の通りでした。

  • 以下の状況から、AはH社保険金が相続税の課税対象であることを十分に理解していたものと認められる。
    1. K社保険金を本件申告に含めていること。
    2. H社保険金に係る支払調書には税務の申告に利用されたい旨の記載が付されていること。
    3. L税理士がAに対して送信した電子メールには、生命保険金の支払の有無を問い合わせる内容の記載があること。
    4. 銀行支店の担当者が、H社保険金が相続税の対象となることを保険契約の締結時にAに説明していること。
  • Aは、H社保険金及びK社保険金のいずれもが相続税の課税対象となることを理解しながら、あえてK社保険金の資料のみをL税理士へ交付し、H社保険金の資料をL税理士へ交付しないことにより、H社保険金を課税財産に含めない申告書をL税理士に作成させて過少申告をしたものと認められる。
  • 上記のことから、Aは当初から財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたといえる。したがって、Aには、国税通則法第68条第1項に規定する隠蔽又は仮装の行為があった。

重加算税の賦課決定処分は違法であるという納税者の主張

重加算税の賦課決定処分は違法であるという納税者の主張

一方の納税者は次のように主張しました。

  • AがH社保険金を申告しなかったのは次の理由からである。
    1. 銀行支店の担当者から、H社保険金は相続税の納税のための資金であり、振り込まれてもAのものではない旨の説明を受けていた。
    2. 銀行支店の担当者から、H社保険金は相続トラブルが生じた場合にも相続手続きの対象とならずに相続税の納税に充てることができる旨の説明を受けていた。そのため、Aは自分に帰属しない財産であり申告の対象に含める必要はないものと理解していた。
  • L税理士にH社保険金に関する資料を交付しなかったのは次の理由からである。
    1. H社保険金は相続税の納税のための保険金であって、Aに帰属しない財産であると理解しており、その取扱いがK社保険金とは異なるものと認識していた。
    2. H社の保険契約は、FとAが銀行支店の担当者の説明を受けた上で締結したものであり、銀行と提携しているG信託銀行が銀行と連絡を取りながら遺産整理を進める旨の話があったことから、Aは、G信託銀行においてもH社保険金について当然に確認しており、G信託銀行と連携して相続税の申告書を作成しているL税理士もH社保険金について当然に承知しているものと認識していた。
  • したがって、Aは、当初から財産を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をしたとは全くいえず、Aに国税通則法第68条第1項に規定する隠蔽又は仮装の行為はない。

国税不服審判所の判断

両者の主張を聴取し、事実関係を調査した国税不服審判所は次のように判断しました。

  • A及びFが受けたH社保険金を扱う銀行の担当者の説明によると、Aは、H社保険金が相続税の課税の対象とならないものと誤解した可能性が否定できない。
  • この誤解に基づいて、H社保険金の存在をL税理士に伝えなかった可能性も否定できない。
  • また、Aは、調査の初日にH社保険金の入金事績が記録されたA名義の銀行口座に係る通帳を税務署の調査担当職員に提示するなど、H社保険金の入金の事実を調査担当職員に対して隠そうとはしていなかったことが認められる。
  • したがって、AがH社保険金の存在をL税理士に伝えなかったことをもって、Aが当初から過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をしたとまではいえず、他にAに特段の行動があったと認めるべき事情も見当たらない。
  • 以上によれば、Aが本件申告においてH社保険金を申告しなかったことにつき、国税通則法第68条第1項に規定する隠蔽又は仮装の行為があったということはできず、重加算税の賦課要件は充足しない。

重加算税が取り消される場合の判断基準

いかがでしょうか。
今回の事例は、受け取った保険金が相続税の課税対象とならないものと納税者が誤解し、その結果、申告漏れとなってしまったものです。
審判所も、「納税者が誤解した可能性は否定できない」「誤解に基づいて税理士に報告しなかった可能性も否定できない」として、税務署の主張を退けました。納税者の行為には意図的な「隠蔽」や「仮装」はなかったものであり、事実関係を調査した審判所も隠蔽・仮装はなかったと判断して重加算税が取り消された事例です。

「疑わしい」というだけでは重加算税は賦課できません。
納税者に意図的な「隠蔽」や「仮装」の行為があることが重加算税の賦課要件です。
そして、その隠蔽や仮装の事実を立証する責任は税務署側にあるのです。

相続税申告でお困りの方は、お気軽にご相談ください

相続専門の税理士法人レガートでは、相続税のプロである税理士が節税を意識しながら、相続税に関わる問題解決に向けて、しっかりとご支援いたしております。
また、レガートのコンセプトは、『税務調査が来ない申告』です。
全ての税目において、税務調査が圧倒的に少ない点が当法人の申告の特徴であり、多くのお客様にその価値を実感いただいております。
詳しくは下記のページをご覧ください。

レガートが目指す税務調査が来ない申告

https://www.legato-ta.jp/service/no_tax_investigation.html

税理士法人レガート 税理士 服部誠

税理士法人レガートは、中央区銀座より様々な情報発信をしております!
税務に関するご相談、税理士をお探しのお客様は、お気軽にご連絡ください。
詳しくは「税理士法人レガート公式サイト」をご覧ください。

よく見られている記事