相続専門税理士 服部 誠 の「相続情報マガジン」
相続人がいない場合
2025.12.15
民法で定められた相続の権利を持つ人を法定相続人といい、具体的には、被相続人の配偶者と血族相続人(子、親、兄弟姉妹など)が該当しますが、被相続人が独身で兄弟姉妹もいなく、両親も既に亡くなっている場合は、だれが相続人になり、相続税はどのように計算するのでしょうか。
今回は相続人がいない場合の遺産の取得者と相続税の計算について解説いたします。
法定相続人とは
民法において遺産を相続する権利が認められている人を法定相続人といい、具体的には次の人が該当します。
まず、死亡した人(被相続人)の配偶者は常に相続人となります。そして、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
なお、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされます。
- 第1順位
被相続人の子供。その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。子供も孫もいるときは、被相続人により近い世代である子供の方を優先します。 - 第2順位
被相続人の直系尊属(父母や祖父母など)。父母も祖父母もいるときは、被相続人により近い世代である父母の方を優先します。第2順位の人は、第1順位の人がいないときに相続人になります。 - 第3順位
被相続人の兄弟姉妹。その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となります。第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。
そして、配偶者もいなく、また上記の第1順位から第3順位に該当する相続人がすべて存在しない場合には「相続人不存在」のケースに該当します。
相続人不存在の場合の遺産の行方
相続人が一人も存在しない場合には、被相続人の遺産は次の人たちに分与されます。
(1)遺言書がある場合
被相続人が生前に遺言書を作成していて、特定の人や団体などに自分の財産を遺贈する旨を記載していた場合には、その人や団体などが被相続人の遺産を取得することになります。
従って、まずは被相続人が法的要件を満たした遺言書を残していないかを確認することが大切になります。
(2)特別縁故者がいる場合
次に、被相続人と生計を一にしていた内縁関係の人や、被相続人の療養看護や身の回りの世話をしていた関係者などの特別縁故者がいる場合には、家庭裁判所の認定をもって、その特別縁故者が被相続人の遺産を取得することが可能になります。
(3)遺言がなく特別縁故者もいない場合
被相続人作成の遺言書がなく、特別縁故者もいない場合には民法第959条により被相続人の遺産は国庫に納められることになります。
特別縁故者が遺産の一部を取得する場合も、特別縁故者が取得した遺産以外の遺産に関しては国庫に帰属することになります。
課税関係
相続人が存在しない場合の課税関係は次のようになります。
(1)遺言書がある場合
遺贈で財産を取得した人の場合には、相続開始日の時価を基にして相続税が課税されます。
相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。法定相続人がいないため相続税の基礎控除額は3000万円となります。
(2)特別縁故者がいる場合
特別縁故者が財産分与を受けた場合には、分与を受けたときの時価に相当する価額を被相続人から遺贈で取得したとみなされて、特別縁故者に相続税が課税されます。
相続税の申告期限は、相続財産の分与の審判が確定し、特別縁故者が財産を分与されることを知った日の翌日から10か月以内となります。こちらも法定相続人がいないため相続税の基礎控除額は3000万円となります。
(3)財産が国庫に納められる場合
相続財産が国庫に納められる場合、国はいかなるときでも相続税の納税義務者とはならないため、相続税の課税問題は生じません。
いかがでしょうか。
相続人が存在しない場合は、遺産を誰がどのような経緯で取得するかによって、相続税の取り扱いが異なってくるため注意が必要です。
今後の参考になれば幸いです。
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