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「通達は否認根拠になるのか?」
2013.12.08
税理士法人レガートの“税務調査ブログ”。(Vol.60)
■「通達は否認根拠になるのか?」
今回は「租税法律主義」についてお伝えしましょう。
「租税法律主義」は憲法第30条と84条で定められています。つまり、税金は
「法律に従って計算してください」というわけです。
では、税務調査において法律以外は否認根拠にならないのでしょうか?
もちろん理論的にいえば、税務調査において法律以外が否認根拠になることはあ
り得ないはずなのですが、現実は違います。国税庁が出している「通達」が否認根
拠になることの方が実は多いのです。
しかし、この「通達」は、行政機関内部における取り扱いや解釈の指針であり、
決して法律ではありません。
では、調査官から「この通達に反しているので否認します。」と言われた場合、
どのように対応すれば良いのでしょうか。
この場合において、「通達は法律ではないので、否認根拠になりません。」と主
張しても通用しないことは確実です。なぜなら、確かに通達は法律ではないのです
が、調査官(国家公務員)は通達を守らなければならない立場だからです。
つまり、会社や一般国民は通達を守る必要はないにしても、調査官が通達を守ら
なければならない以上、間接的に通達に拘束されているといえるのです。なんだか
話がややこしいですね。
そこで、「通達は法律ではないから守らなくてもいい。」と主張するのではなく、
違う角度から反論する必要があるのです。法人税基本通達の前文(一部抜粋)には
こう書かれています。少し硬い表現になっていますが、原文を記載します。
『この通達の具体的な運用に当たっては、法令の規定の趣旨、制度の背景のみなら
ず条理、社会通念をも勘案しつつ、個々の具体的事案に妥当する処理を図るように
努められたい。いやしくも、通達の規定中の部分的字句について形式的解釈に固執
し、全体の趣旨から逸脱した運用を行ったり、通達中に例示がないとか通達に規定
されていないとかの理由だけで、法令の規定の趣旨や社会通念等に即しない解釈に
おちいったりすることのないように留意されたい。』
つまり、「通達」というのは、画一的に運用・適用してはならないと定められて
おり、さらに「社会通念=常識」が「通達」を上回ると規定されているのです。
一度決められたルールはなかなか変わりません。かなり昔に規定された通達も多
くあります。しかし、現実は常に変わり続けています。
税務調査が行われるこの瞬間の常識が、通達より優先されると書かれているわけ
ですから、この「前文」はぜひ知っておいてください。
(つづく)
今回もお読みいただきありがとうございました。
税理士法人レガート 税理士 服部誠
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