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「相続発生の数日前に引き出された預金」

2016.05.16

税理士法人レガートの“税務調査ブログ”。(Vol.109

 

 

「相続発生の数日前に引き出された預金」

 今回は、被相続人の相続開始数日前に相続人によって引き出された多額の金員に関して争われた事例をお伝えします。

 この事例は、相続が発生する数日前に相続人によって引き出された5,000万円もの金員の使途について、相続人は不自然、あいまいな申述をするのみで、かつ、被相続人が費消等した事実も認められなかったために、被相続人の相続財産と認定されたものです。

 

 事案の内容は次の通りです。

○被相続人の相続人は、配偶者A・子D・子Eで、A及びDは被相続人と同一の住所であった。

○被相続人は平成19年4月11日、F病院に入院した。

○Dは、平成19年4月19日にG銀行において被相続人名義の定期預金を解約し、被相続人名義の貯蓄預金にいったん預け入れた後、その貯蓄預金から5,000万円の金員を現金で引き出した。

○被相続人は平成19年4月20日、F病院を退院した後、同月21日、H病院に入院し、同月△日、退院することなく同病院において死亡した。

○A・D・Eは上記の5,000万円を遺産に含めずに相続税の申告を行った。

○税務署は上記金員5,000万円が申告漏れであるとして、相続税の更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分を行った。

 

 税務署の見解は次の通りです。

○本件金員は、それを引き出す直前における被相続人の預金残高の8割を超える額であり、被相続人がDにこれほど多額の現金を自宅から離れたF病院に持ち込ませる必要はない。

○被相続人が本件金員を管理し、退院するまでのわずかな時間にその全額を費消したとは通常考え難い。

○本件金員を引き出したDが管理していたと考えることが自然である。

○多額の本件金員を被相続人に交付し、同人がその全額を費消した旨の申述は極めて不自然であり、信用することはできない。

○被相続人は、本件金員の引出日から相続開始日までの間、いったんF病院を退院した後、翌日からH病院に入院している。

○本件金員が被相続人の管理下になったと主張する日から相続開始日までの日数が極めて短期間であることを考えれば、被相続人が本件金員を費消したとする客観的な証拠が見当たらない。

○仮に、本件金員が被相続人に交付されていたとしても、本件金員は相続開始日において存在していたと認定するのが相当である。

 

 一方の納税者の主張は次の通りです。

○Dは被相続人の指示に基づき、G銀行において本件金員を引き出し、その当日に被相続人の入院先であるF病院に本件金員を運び、全額を被相続人に引き渡した。

○相続人らは、その後における本件金員の保管及び処分には全く関与していないし、被相続人から本件金員の使途についても知らされていない。

○したがって、本件金員は被相続人が費消したものであり、相続開始日においては存在しなかったというべきであるから、本件相続に係る相続財産ではない。
最終的に国税不服審判所では次のような判断を下しました。

○被相続人が、5,000万円という高額な金員を家族に知られないまま費消することは通常であれば考えられないことに加え、本件金員をギャンブル等の浪費によってすべて費消するには相続開始前の数日間では短すぎる。

○被相続人の消費傾向に照らしても、本件金員がすべて費消されたとは考え難い。

○被相続人自身、数日後に死亡するとは考えておらず、多額の費用が必要な手術の準備をしていた時に、預貯金残高の8割を超える5,000万円もの金員が、そのような短期間で軽々に費消されたとも考え難い。

○さらに、税務署及び当審判所の調査の結果によっても、本件金員が相続開始日までに、他の預金等に入金された事実、債務の返済や貸付金に充てられた事実、資産の取得の対価に充てられた事実、その他何らかの費用に充てられた事実はなく、家族以外の第三者に渡されたような事実もない。

○以上のとおり、通常想定し得る金員の流出先についてみても、本件金員が費消等された事実はなかったのであるから、本件金員は被相続人によって費消等されなかったと認めることができ、ほかにこれを覆すに足りる証拠もない。

○したがって、本件金員は、本件相続の開始時点までに被相続人の支配が及ぶ範囲の財産から流出しておらず、本件相続に係る相続財産であると認められる。

 

 いかがでしょうか。相続税の税務調査においては、被相続人の預金口座はもちろんですが、相続人、及び相続人の家族の預金口座に関しても、過去の動きを細かく調査されます。

 本件のように相続発生の直前に引き出された預金については、その使途を明確に説明できるようにしておく必要があります。

今後の参考になれば幸いです。

 

 

(つづく)

 

今回もお読みいただきありがとうございました。

税理士法人レガート 税理士 服部誠

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