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相続専門税理士 服部 誠 の「相続情報マガジン」

寄与分と特別の寄与

2025.08.28

故人の生前の療養看護等を献身的に行っていたときに認められる「寄与分」が、以前は相続人だけが対象でしたが、現在は相続人以外でも認められるようになっています。今回は遺産相続の際の「寄与分」について解説いたします。

「寄与分」と「特別の寄与」

(1)寄与分とは

相続人の中で被相続人の財産の維持や増加に特別な貢献をした人がいる場合に、遺産分割等で決定した相続分に、その貢献度に応じた相続分を加算することができる制度のことを「寄与分」といいます(民法904条の2)。

≪具体的な計算例≫
寄与分がある者:(相続財産総額-寄与分)×法定相続分+寄与分
寄与分がない者:(相続財産総額-寄与分)×法定相続分

ただし、この寄与分が認められるためには非常に高いハードルがあるとともに、相続人だけに認められる制度でした。そのため、例えば被相続人の子の妻が献身的に被相続人の介護を行っていたとしても寄与分を主張することはできませんでした。

(2)特別の寄与とは

寄与分は相続人だけに認められた制度のため、被相続人の療養看護を献身的に行っていた相続人でない親族にとっては不公平な制度だと指摘されていました。
そこで、平成30年の民法改正により、相続人以外の親族が被相続人の財産の維持や増加のために特別な貢献をしていた場合、相続人に対して特別寄与料を請求することができるようになりました。
これを「特別の寄与」といいます(民法1050条1項)。

特別寄与料

(1)特別寄与料を請求できる要件

特別寄与料の請求が認められるためには、次の要件をすべて満たす必要があります。

  1. 被相続人の親族であること
  2. 被相続人に対して無償で療養看護、その他の労務の提供をしたこと
  3. 被相続人の財産の維持や増加に特別の寄与をしていたこと

(2)特別寄与料の請求方法

特別寄与料は、特別寄与者が遺産を相続する相続人に対して請求し、相続人との協議で決定します。相続人との協議が難しい場合には、特別寄与者は家庭裁判所に「特別の寄与に関する処分調停」を申し立てることができ、調停での合意に至らなければ家庭裁判所による審判となります。
また、特別寄与料は、特別寄与者が「相続の開始」と「相続人」を知ったときから6か月を経過した日、または相続の開始から1年を経過した日までに請求しなければなりません。

特別寄与料と相続税

(1)特別寄与料を受け取った人

特別寄与料を受け取った場合には、その特別寄与料の金額を被相続人から遺贈されたものとみなして相続税が課税されます。
従って、被相続人の遺産の総額が相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合は、特別寄与者も相続税の申告をしなければなりません。申告の期限は、特別寄与料の金額が決まったことを知った日の翌日から10か月以内となります。

なお、特別寄与者が被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の場合には、相続税額が2割増しになるので注意が必要です。特別寄与者はそもそも相続人ではないため、ほとんどのケースにおいてこの2割加算の対象になるものと思われますが、例えば、被相続人の親(被相続人に子がいる場合には相続人にはならない)が特別寄与者に該当する場合は、この2割加算の対象にならないことが考えられます。

(2)特別寄与料を支払った人

特別寄与者に対して特別寄与料を支払った相続人は、相続税の計算上、課税対象の遺産の額から支払った特別寄与料を差し引くことができます。
もし、相続税の申告後に特別寄与料を支払った場合には、特別寄与料の金額が決まったことを知った日の翌日から4か月以内に、更正の請求(還付請求)をすることができます。

以上のように、特別の寄与(特別寄与料)は請求すれば必ず認められるものではなく、とても高いハードルがあります。
そのため、日頃から介護日誌をつけておくなど、特別の寄与の事実を証明できるよう整えておくことが望ましいといえます。

今後の参考になれば幸いです。

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