相続専門税理士 服部 誠 の「相続情報マガジン」
相続人が外国に住んでいる場合
2023.05.12
最近では海外転勤や海外留学などが増えてきたことから、相続人の中に外国に住んでいる人がいるケースも珍しいことではなくなってきました。
今回は、相続人が外国に住んでいる場合の相続税や相続手続きについて、知っておくべきポイントをお伝えいたします。少し複雑な表現になりますが、該当する方におかれましては、是非、ポイントを押さえて頂ければと思います。
相続税の納税義務者
相続や遺贈で財産を取得した時に外国に住んでいて日本に住所がない人は、取得した財産のうち日本国内にある財産だけが相続税の課税対象になります。
ただし、次のいずれかに該当する人が財産を取得した場合には、日本国外にある財産についても相続税の対象になります。
(1)財産を取得したときに日本国籍をもっている人で、被相続人の死亡日前10年以内に日本国内に住所が有った場合か、同期間内に住所が無く被相続人が一時居住被相続人(注1)又は非居住被相続人(注2)でない場合。
(2)財産を取得したときに日本国籍をもっている人で、被相続人が一時居住被相続人、非居住被相続人又は非居住外国人(注3)でない場合。
(注1)「一時居住被相続人」とは、相続開始の時に在留資格をもっており、かつ、日本国内に住所が有った被相続人で、その相続の開始前15年以内に日本国内に住所が有った期間の合計が10年以下の人をいいます。
(注2)「非居住被相続人」とは、相続開始の時に日本国内に住所が有った被相続人で、(イ)相続の開始前10年以内のいずれかの時において日本国内に住所が有った人のうち、そのいずれの時においても日本国籍をもっていなかった人、又は(ロ)その相続の開始前10年以内に日本国内に住所が無かった人をいいます。
(注3)「非居住外国人」とは、平成29年4月1日から相続又は遺贈の時まで引き続き日本国内に住所が無い人で日本国籍をもっていない人をいいます。
例えば、日本国籍をもつ長男が7年前からアメリカに住んでいるようなケースで、日本国内に住所が有る父に相続が発生した場合には、長男は相続で取得する全ての財産に対して日本の相続税がかかることになります。
相続人が外国に住んでいる場合の相続手続き
(1)印鑑証明書に代わる「サイン証明書」
遺言書がない場合には相続人全員で遺産分割協議書(印鑑証明書添付)を作成することになりますが、相続人の中に非居住者がいる場合には印鑑証明書に代えて「サイン証明書」(署名証明書)を添付することになります。
サイン証明は遺産分割協議書の原本を現地の領事館に持参し、領事の面前で署名と拇印を行わなければならないため、申請する本人が公館へ出向く必要があります。代理申請や郵便申請はできませんので注意が必要です。
遺産分割協議書の原本を現地に郵送するなどして手続きを行うことになりますので、時間的余裕も十分とって臨むことが必要となります。
(2)住民票に代わる「在留証明書」
相続財産の中に不動産がある場合には、不動産の相続登記が必要になりますが、この登記申請をする際には法務局に対して住民票を提出する必要があります。
日本に住所がある相続人の場合には住民票(又は戸籍の附表)を提出することができますが、外国に住所がある相続人の場合には、日本の住民票には外国の住所までは記載されていません。
そのため、住所を証明する書類として現地の「在留証明書」を取寄せる必要があります。
在留証明書は現地の日本領事館で発行されますが、現在の住所地にいつから居住しているかを証明できる書類(例えばパスポートなど)を提示することが必要になります。
サイン証明書や在留証明書は、ともに外国との郵送でのやり取りになることが多いため、余裕をもって手続きに臨むようにした方が良いでしょう。
以上、ご参考になれば幸いです。
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