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社長が青年会議所の会議等に出席するための交通費や宿泊費は・・・

2016.07.15

前回はロータリークラブの諸会費等の必要経費性についてお伝えしました。
今回は、法人の代表者が青年会議所(JC)の会議等に出席するための諸費用の取り扱いで争いになった事案をご紹介します(平成27年7月28日裁決)。

事案の内容

事案の内容は次の通りです。

  • 電気工事業を営む法人A社は、その代表者がJC(QJCの会員)の会議等に出席するための交通費、宿泊費及び日当を、旅費交通費として損金の額に算入し、法人税等の確定申告を行った。
  • ところが、税務調査において、その費用は法人の事業の遂行上必要な費用には当たらず、代表者に対する給与と認められるとして、法人税等の更正処分等を行った。
  • さらに、代表者個人に対する給与であることから源泉徴収に係る所得税等の納税告知処分等も行った。
  • A社は、税務署の認定には誤りがあるとして、これらの処分の全部の取消しを求めて争った。

税務署の見解

まず、税務署の見解は次の通りです。

  • A社の代表者は個人の意思でQJCに入会しその役員を歴任している。
  • 日本JC及びQJCの各定款に掲げられた事業の内容からすると、A社代表者がJCの各会議等に出席することは、法人の事業遂行上必要であったとはいえない。
  • 日本JC及びQJCは、それぞれの定款において、特定の個人又は法人、その他の団体の利益を目的とした事業を行わない旨を定めている。
  • 従って、JCの各会議等は、上記各定款に則した事業の一環として行われたものであり、電気工事業を営むA社の事業との関連性は明らかでない。
  • A社は国際JCが恒久的プログラムの1つとして「ビジネスの機会」を掲げていると主張するものの、その内容は抽象的であり、詳細も不明である。
  • JCの各会議等が受注活動や新規事業の開拓を目的として開催されていたとは認められない。
  • 従って、これらの旅費交通費は、法人の事業の遂行上必要な費用ではなく、代表者個人が負担すべきものであるから、代表者に対する給与に該当する。

納税者の主張

一方の納税者の主張は次の通りです。

  • JCの活動はリーダーの育成に資するものであり、A社は経営者教育の一環として代表者をJCに入会させ、本件各会議等に出席させている。
  • 現に各会議等の中で、組織論をはじめとする経営学を学習し、会議の進め方、稟議書の取り方及び事業計画の策定の仕方を習得することで、経営者としての能力を向上させることができている。
  • JCの活動の中心は青年経済人である会員との交流にあることから、代表者をJCに入会させた上、各会議等に出席させた。そして、各会議等を含むJCの活動の場において会員との交流や人脈を確立し、営業活動を行うことで、現に、JCの会員等を取引先として約1億円を売り上げるに至っている。
  • A社の事業は国内の電機工事業だけでなく他業種にまで拡大しており、代表者が他業種に関する講演会等に参加することで、国際的に生じている問題をビジネスチャンスと捉え、A社の事業に結び付けている。
  • したがって、各会議等を含むJCの活動に係る支出は、「A社の経営者に対する教育費用としての性質」、「A社の受注活動費用としての性質」、さらには「A社の新規事業の開拓費用としての性質」を有すものであることから、A社の事業の遂行上必要な費用であり、代表者個人が負担すべきものではないから、代表者に対する給与には該当しない。

国税不服審判所の判断

最終的に国税不服審判所では次のような判断を下しました。

  • 国際JC及び日本JC、QJCの各定款の定めからすれば、JCは、特定の個人又は法人の利益を目的とするものではなく、社会の発展や世界の平和と繁栄への寄与といった公益的な目的を達成するために各種の事業を行うこととしている。
  • 各会議等においては、国際JCや日本JC及びQJCの各定款に掲げられた目的及び事業の内容に則した活動が行われていた。
  • そのため、各会議等において各会員が自身の事業内容を紹介することや、事業に関連した営業活動をする機会がなかったことが認められる。
  • そうすると、代表者の各会議等への出席は、社会の発展への寄与などのJCの活動目的を遂行するためのものであったと認められるから、本件旅費交通費はA社の事業の遂行上必要なものであったとはいえず、代表者が個人的に負担すべきものである。
  • 仮に、代表者が各会議等に出席したことで、取引先の確保や代表者の経営者としての能力の向上、新規事業の開拓に寄与することになったとしても、それはJCの活動に付随する副次的な効果にすぎず、代表者の各会議等への出席が法人の事業の遂行上必要なものであったということはできない。
  • 以上のとおり、本件旅費交通費は社会通念に照らし客観的にみても、A社の事業遂行上必要な費用ではなく、代表者が個人的に負担すべきものであるから、代表者に対する給与に該当するものである。

 

いかがでしょうか。経営者の能力向上や取引先の獲得が実現できたとしても、「それは副次的なものに過ぎない」という非常に厳しい解釈が、審判所の見解のようです。この事例はJC会議への参加の事例ですが、他の団体等への参加費用についても見直しておく必要があるかもしれません。

今後の参考になれば幸いです。

税理士法人レガート 税理士 服部誠

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