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長期入院中の役員に給与を払えるか

2015.12.16

建築工事業を営む同族会社が、長期入院中の取締役会長に支払った報酬の額が過大か否かを争点として国税当局と争った事案がありますのでご紹介いたします。(平成14年6月13日裁決)

事案の内容

事案の内容は次の通りです。

  • 建築工事業を営むA社は、取締役会長Hに対し役員報酬として、平成10年7月期については12,000,000円、平成11年7月期については12,000,000円及び平成12年7月期については9,000,000円を支給し、その全額を損金の額に算入していた。
  • H会長は、代表取締役辞任後は病気がちであり、特に、平成9年4月以降は長期入院が継続していた。
  • 税務署はH会長に対する役員報酬が過大であるとして、3期におけるH会長に対する役員報酬を否認し法人税等の更正処分を行った。
  • A社はH会長への報酬は適正額であるとして税務署の処分の取り消しを求めた。

税務署の見解

税務署の見解は次の通りです。

  • H会長は長期入院が継続しており、通常の勤務ができなかったと認められる。
  • 特に平成9年4月以降は長期入院や退院の繰り返しが続くなど、常勤役員として会社業務に従事することがほとんど困難であったと認められる。
  • 法人税の確定申告書に添付している「役員報酬の内訳書」においてH会長は非常勤である旨の表示を行っている。
  • 同規模の事業を営む法人の非常勤取締役に支払われた役員報酬の状況をそれぞれ比較検討したところ、H会長の役員報酬の適正額は月額500,000円であると認められる。

納税者の主張

一方の納税者の主張は次の通りです。

  • H会長は請求人の創業社長及び創業会長であり、会社の発行済株式総数の54%を自己及び配偶者等で保有する実質的な支配株主であった。
  • A社の現在の代表取締役社長であるMは経営者としての経歴も長くなく、年齢も若かったため、H会長から会社経営全般に対して常にその指揮を受けており、H会長は死亡直前まで絶対的な支配権を持っていた。
  • H会長は経営者として、営業、人事労務、資金調達のすべての分野において全般的に関与し、会社経営に関して自ら企画立案をし、又は企画立案を指示し、会社業務の細部まで報告させ、それをチェックするなど、入院前と変わることなく会社の経営全般に従事していた。
  • ここ10年間、極めて優良な業績を安定して上げている会社の業績に対し、役員報酬の額が相対的に低額になっていることから、取締役の業績に応じて見直したものである。
  • 毎日一定時間会社にいたわけではないが、取締役会長としての勤務状況は常勤と何ら変わることのない状況であり、比較するのであれば類似法人の常勤取締役の報酬額と比較すべきである。

国税不服審判所の判断

そして、国税不服審判所の判断は次の通りでした。

  • H会長は、平成5年6月28日にQ病院に入院して以来、平成12年4月21日に死亡するまでの間、入退院を繰り返しているが、入院時においても、毎日ではないものの会社に出向いており、その際、会社の職務に従事しているほか、会社の業務に関連して病院から外出し、外出していない時も病室で会社の役員等から報告を受け指示をしていた事実が認められる。
  • 入院の状況が免疫療法及び物理療法であったことを考え合わせると、H会長は、かなりの頻度で会社の職務に従事していたと認めるのが相当である。
  • H会長が正規の手続により非常勤の取締役となった事実も認められない。
  • 役員が非常勤役員となるか常勤役員となるかの判断をするに当たっては、当該役員の勤務状況の実態に基づいて判断すべきであり、確定申告書の添附書類の表示だけを基に当該役員が非常勤役員であるとするのは相当でない。
  • H会長は会社の常勤の取締役と認められ、この点に関する税務署の主張には理由がない。
  • H会長の職務の内容は、会社の営業、人事、資金調達等、会社の業務全般に及んでおり、実質的には同人が病気治療を始める以前とほぼ同様で、会社の経営に直接関与していたと認められ、かつ、その影響力は代表取締役に匹敵するほどであったと推認される。
  • 会社の収益の状況は認定事実のとおり良好であり、また、すべての事業年度において利益処分による配当を行い、さらに、平成10年7月期を除くいずれの事業年度においても利益処分による賞与を支給しているなど、良好な経営状態であったと認められる。
  • 以上のことから、H会長に対する役員報酬は相当であり、本件更正処分は取り消すべきである。

 

いかがでしょうか。役員報酬は従業員に対する給与とは違い、経営に従事することに対する対価となります。本件のように常勤でなくても、経営に従事している実態があり、その額が適正であれば、役員報酬として支給し損金に算入することが可能となります。

今後の参考になれば幸いです。

税理士法人レガート 税理士 服部誠

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